慢性期医療に求められること

当院では様々な患者様を診させていただいており、特に多い疾患というものはございません。
逆に言うと、便秘などの一般症状から様々な特定疾患まで多種多様の原疾患をお持ちの慢性的な加療を必要としている方が大勢ご入院されています。
大学病院に勤めていた頃には、専門科の急性期疾患を中心に対応してきましたが、現在では専門科外の疾病や専門科領域の中期から慢性期、終末期に至るまでの広い範囲を担当させていただいております。
慢性期医療というと本来は急性期治療を完了された方あるいは在宅療養中に状態が悪化した方に対する継続的な治療、終末期の対応などがあげられると思います。
しかし、高齢化や医療制度の変更により慢性期医療の役割は大きく変容しており、現在では地域に密着しあらゆる疾患の高度急性期医療以外をすべてひっくるめた対応が求められていると考えます。
そのために、当方はより広い範囲の疾患に対応し知識を広げるため、SMG入職後に内科認定医から総合内科専門医を取得するなどし専門科外のスキルアップを目指しております。
ご高齢者は加齢に伴い様々な臓器の機能の低下がみられるため、主病名だけの加療ではむしろ全身状態の悪化を招くこともあり治療自体も慎重を要し、かつ長期間を要する場合も多く認めます。
入院されている方はおひとりでは、更衣、整容、排便など一人で行うことが難しく、苦痛の訴えさえできない方も珍しくありません。しかし、発見が遅れてしまえば重篤化しやすいこともあり、より注意深い日々の回診が重要と考えます。
もう一つ慢性期医療を行う上で非常に大事であると考えることは、看護師、作業療法士、理学療養士などをはじめとした様々な職種との医療連携・チーム医療です。
急性期を代表する大学時代に培ってきたチーム医療では医師をトップに置いたピラミッド型が主でしたが、慢性期医療においては退院や最期を迎えるにあたり残っている時間をいかに有意義に、満足した形で過ごしていけるかを考慮しながらそれぞれのスタッフが互いの足りていない部分を補い行動していくフラットな形でのチーム医療が求められていると考えています。
現在は、日々多くのスタッフに助けていただき、同じ方向を向いて医療を行えていることに本当に感謝しています。
急性期医療を行っていたベースをもとに現在慢性期医療を行い、以前より広い視野を持ち、社会的背景も含め「全人的に」最後まで多様な疾患を担当し非常に有意義な経験をさせていただいていると考えます。
Profile
医療法人社団 晃進会 川崎みどりの病院
内科医 K . O
資格等:
総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、消化器がん検診学会認定医、肝臓専門医、日本ヘリコバクター学会感染症認定医