「もう一度、歩きたい」―その願いに寄り添う現場から

鶴川リハビリテーション病院は、回復期リハビリ病棟60床、療養病棟60床(計120床)を有しています。
聖マリアンナ医科大学病院、川崎市立多摩病院、日本医科大学多摩永山病院の関連医療施設であり、聖マリアンナ医科大学病院とは脳卒中計画転院をおこなっており、R7年6月からは整形外科・脊椎手術計画転院を開始します。常勤医と非常勤医で16名(消化器内科、神経内科、循環器科、代謝内科、呼吸器内科、整形外科、泌尿器科、皮膚科、リハビリ科、精神科)。リハビリ科はPT23名、OT15名、ST5名の計43名が在籍しています。
回復期リハビリ病棟の入院は1か月で20~25人。脳血管疾患、整形疾患、廃用症候群はそれぞれ1/3ずつ程度です。
脳血管疾患は脳梗塞が主で、次いで脳出血。整形外科疾患では大腿骨頸部骨折、脊椎骨折、下肢や骨盤骨折。廃用症候群では心臓手術後、重症肺炎治療後、胃がん術後、感染性肝臓疾患術後などの患者様です。
リハビリテーションの中心は歩行訓練や生活リハビリです。嚥下困難の方には嚥下機能評価を行い、食事摂取の状況に応じて食事形態を決定し、嚥下リハビリを行います。歩行に関しては歩行機能評価を行い、車イス、歩行器、さらには自立歩行をリハビリ訓練室での歩行から、歩行状態が改善したときは、屋外での訓練を行います。退院後の運転に不安のある方にはドライブシュミレーターを用います。脳機能、特に言語訓練には毎日の会話は欠かせません。笑顔をもって毎日患者様に対応しています。退院後の生活指導には、自宅の状況を正確に把握するが必要です。そのため、退院前の家屋調査を行い、退院後の療養支援をケアマネージャー、訪問看護師、訪問医師と共に検討します。自宅退院が困難な方には、適切な施設の紹介を行っています。鶴川リハビリテーション病院と同じ医療法人の鶴川記念病院では在宅医療や在宅看護を提供しており、退院後も医療情報を共有し安全で確実な医療を提供してします。
また、肺気腫や心不全、重症肺炎、筋委縮性側索硬化症などでNIPPVを含めた人工呼吸器を設置した患者様の原疾患に悪化や、骨折などの合併症によりリハビリテーションが必要になったときも積極的に受け入れています。食事摂取が困難な患者様に関しては中心静脈ルートでの高カロリー輸液、胃瘻を設置したうえでの経腸栄養の投与を行います。
当院はリハビリテーションを中心とした病院のため、急性期医療を担う病院との医療連携は欠かせません。
以下のような症例を経験しました。
症例:66歳 女性。 主訴:意識レベル低下
経過:R7年2月4日:元々は肺気腫や喘息とともに胃がん術後、硬膜下血腫治療後などの管理を近医でおこなっていました。
意識レベル低下で近医に入院し、ウエルニッケ脳症が疑われ、当院に転院となりました。
その後、徐々に病状が悪化したため、急性期病院に転院。精査にて右脳梗塞が判明し即日に緊急入院になりました。急性期治療を行った後、再度、当院に転院しリハビリテーションを実施しました。
当院から急性期病院への転院時は開眼なく、四肢の運動はなく、疼痛刺激への反応も見られませんでした。呼吸状態も悪化しておりベッド上安静の状況でした。救急病院での急性期治療、当院での胃瘻を用いた経腸での栄養管理及びリハビリテーションを行いました。経過は良好に推移し自立歩行や食事摂取も可能となり、簡単な会話やコミュニケーションも可能となりました。
診療を行うには、対象疾患だけでなく、既往歴や基礎疾患を含めて、全ての臓器の管理が必要です。
当院では、リハビリテーションを中心に各科の医師が連携を取りながら、全身状態の評価と管理診療を行うことで、良好な医療提供体制を目指しています。
鶴川記念病院
活かせる専門性
Profile
医療法人社団 三医会 鶴川リハビリテーション病院
病院長 新井 基央
聖マリアンナ医科大学卒業後、聖マリアンナ医科大学病院入局。
2015年鶴川リハビリテーション病院の病院長就任。現在に至る。
<専門分野>
内科全般